施主側が勉強するしかない?

先日、「これから家を建てる工務店や建築士を選ぶ段階」という県外の方から問い合わせでこんな内容がありました。

 

(※抜粋)


設計士や工務店の方と話をするにしても、具体的な数値(例えば、Q値、UA値、C値、耐震設計3等)で、話をしないと先方の実力が分からないと思いますし、私どもの希望を数値目標にすることにより両者の思いの差を縮める事が出来ると思います。専門家と話すのは難しいです。中々、何故こうしたかと言う根拠まで話して貰えないので、こちらが勉強するしかないと思っています。


 

せめて資料だけでも送って頂き、今後の家作りの参考にしたいと思います。
という方は下記を読み込んでみてください。


資料は基本的に『ラファエル設計の家づくり』の抜粋版です。

 

こういった内容、沢山あると思いますので、私の返信内容も含めて描きたいと思います。

希望を数値目標にすることにより両者の思いの差を縮める事が出来る?
これは過去の相談経験に基づく「あるある」なのですが・・・
施主様が目標とする数値をいった所で、その数値をクリアするのは正直簡単です。
窓を小さくしたり、窓の数を減らし、ウレタンなどを使えば東京で言いうHEAT20のG2(UA値0.46)とは、ハウスメーカーでもクリア出来る仕様です。


それを室温シミュレーションに掛けて見ますね。

栃木でMホームなどは、0.47でこのようになります。
これをラファエル設計が設計すると同じ間取りでここまで変わります。


東京のUホームは0.61くらいでしたね。


数値を聞くなら、UA値やQ値などを聞く他に・・・
「自然温度差何℃になりますか?」
「燃費(冷暖房費)は計算でどれくらいになりますか?」
この二つを聞くだけで、UA値もQ値も、C値も含めてキチンと考えられているというか、それらの数値が結果論であることがわかります。
設計の「目標」は「自然温度差9℃(仮)」、
その結果がUA値0.34、
Q値1.3
C値は1.0~0.5以下を想定
という「結果論」となります。

次に、燃費を聞く事により、それもしっかりQ値などの数値は勿論の事、燃費(冷暖房費)が低いなら、無暖房でも暖かいし、エアコン点けっぱなしでもエアコンはほとんど動かない事を検討している事になります。

以上の事から、温熱設計に詳しくない・・・
言い方悪いですが「素人」の方が、
これまた温熱設計をやっていない、「素人」のプロ側に聞いた所で、
「素人同士(分からないもの同士)の会話」でしかなくなってしまいます。

そこで、温熱素人プロは、「高気密高断熱」や「シミュレーション」について、否定的な話をし始めます。
これが、今の建築業界のです。
省エネ基準の義務化を徹底的に反対したのは大手ハウスメーカーたちですから。

「私どもの希望を数値目標にすることにより両者の思いの差を縮める事が出来ると思います。」

というのは、ホームズ君というソフトを使っている会社か、QPEXを使っている新住協の会員、パッシブハウスジャパンの会員などに依頼しない限りは、設計&出来たものは絵に描いた餅状態になる事が分かり切っております。
両者の思いの差を縮める事が出来るというのは、温熱の部分に関しては、耐震等級3のような明確な答えがありませんので、何も分からない工務店に数値を話したところで少し夢物語な部分があると感じます。
何故こうしたかと言う根拠まで話して貰えないので、こちらが勉強するしかないと思っています
この根拠こそが、QPEXなどの計算書ですよね。
室温シミュレーションを全員の会社が出来る訳ではありません。

「こちらが勉強」・・・
とても良い言葉ですが、この勉強は、勉強方法や内容を間違えると、とても優秀な工務店からは嫌がられる可能性があります。

「こちらが勉強」という想いは、「騙されないぞ」という想いの裏返しである事だと思っています。
そういった相談を沢山受けて来ての私個人の持論ですが。

家づくりというのは、信頼関係が一番重要です。
いきなり疑いの目を向けられたまま、建築相談に来られた方の気持ちになってください。

こちらとしては、勝手に疑いをもった人に対して、別に疑いを晴らすなんて気持ちになりますかね?(笑)

大抵の会社は「じゃあ、初めから相談くるなよ」って、口に出しては言わないけれど、心の中では思うはずです。
僕はこうやって言っちゃいますけど。

正直さ・・・
根拠などを示さなくても「家を建てたい」とお願いしたら「冬暖かく、夏涼しい」家になっていなくてはいけないのが当たりまえの話だと思いませんか?(笑)
でも、私はしっかりと根拠を示して、安心してもらっておりますが。

いずれにしても、「勉強する」というのは、ネットで調べてよいと思った事の多数決集めみたいな事はお勧めしません。
そして、勉強するなら新住協の会員さんのHPで必ず勉強してください。

YOUTUBEやっている工務店さんとか、たまに・・・
「え!?」
って解説している事ありますけどね(笑)
まとめ
UA値やQ値、C値、耐震等級3などなど・・・

これらは、お客様が工務店に望んで家を建ててもらうものではありません。
工務店側が、当たり前にそういった家を造るのが当たり前です。

車を買いに行ったと思ってください。

「ブレーキを付けたいんですけど」

って要望だします?

「窓の気密性高くしたいです」

って要望だします?

「サイドブレーキを上手く使えれば、ブレーキなんて必要ないですよ!」
というディーラーの会話と
「高断熱は必要だけど、気密はいらない」
という工務店の会話は同じ事だと思ってください。

要望するのであれば、UA値なんかホントに無意味なのでやめてください。
じゃあ、C値ならいいのか?
少しはマシというレベル。
C値なんて、要望してその通りになるわけがない。
C値は0.5以下ならOKとかいうレベルです。

まあ、こんな感じで色々書きましたけど・・・

「問題」を解決するには「解答」が必要です。

その解答が誰が正しい情報発信をしているのか?です。

 

家づくりって、自分以外を信じられないというタイプの人は、中々難しいですよね。

施主側が勉強するにしても、今回のブログのような話は1級建築士の勉強でもやらないし、そんな問題出てこないですからね。

今の時代、無料で色々調べられることが多くなりましたが、所詮無料レベルの事も多いです。

でも、それが無料レベルなどかどうかは、一般ユーザーが判断するのは難しいですよね。

2020年03月23日